親権

未成年の子供がいる場合、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めなければ離婚はできません。これは、離婚する場合には、どちらかの単独親権としなければならないためです。

離婚だけを行い、子の親権者の決定・指定は後で決めることはできません。夫婦間の合意で親権者を指定できないときは、協議離婚の届出ができないので、調停や裁判で親権者を定めることになります。

ここで大切な事柄は、子どもの生活・福祉を考えて決めることです。親のエゴや離婚の際の意地の張合いなどで決めるものではないということを念頭においてください。民法上も「この利益を最も優先して考慮しなければならない」(民法第766条第1項)、「この利益のためにこの監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」(民法第820条)という規定があります。

調停や裁判における親権者を定める基準判断のための要素としては、

  1. 乳幼児の母性優先(乳幼児については母性的役割をもつ者による監護を優先)
  2. 監護の継続性の維持(現実に子を養育監護しているものを優先)
  3. 子の意思の尊重(15歳以上の子についてはその意見聴取が必要的です)
  4. 兄弟姉妹関係の尊重(血のつながった兄弟姉妹を分離することは、子の人格形成に深刻な影響を及ぼすため)
  5. 監護能力の有無・程度(年齢、性格、教養、健康状態など)
  6. 経済的家庭環境の程度(資産、収入、職業、住居など)

などがあります。

なお、親権の判断にあたっては、離婚の有責性(どちらに離婚の原因が主にあるのか)についてはあまり考慮されない傾向にあります。

離婚後の子どもとの関係・間柄

子どもを離婚後も夫婦の共同親権とすることはできません。必ず夫婦の一方が親権者となります。また、子が数人いる時は、それぞれの子について親権を決めなければなりません。 その場合、夫と妻に分けることもできます。

親権者の記入には細心の注意が必要です。離婚届を受け付けてもらいたいがために、とりあえずどちらかを親権者として記入しておいて、離婚が成立してからあらためて話し合おうと思っても、親権者は離婚届に記載した通りに戸籍に記入されてしまいます。

後で変更するつもりであったとしても、親権者の変更は家庭裁判所の審判が必要ですから、簡単に変更できるものではありません。

親権とは、父母が、一人前の社会人となるよう子を監護教育し、子の財産を管理し、または養育することを内容とする、親の権利義務の総称といわれています。親権には、権利だけなく義務を伴うという要素があります。

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