父の遺産を独り占めにしている

遺産は独り占めできるのか?

このブログをご覧の方は、これから相続が起こりうる方や現在すでに父親の遺産を母親もしくは家族の方に独占されてしまっている方ではないでしょうか。

結論から言いますと、条件によっては独り占めのような形にはなります。
条件とは、遺言書の内容に関わることがあります。では、どのようにして独り占めのような形になるのかを見てみましょう。

1人の相続人が承継するという内容の遺言書がある

遺言書の内容が、遺産の全てを妻に承継すると記載がある場合は、独り占めのような形で遺産を独占することができます。それが息子に遺産の全てを承継するという記載があっても、同じようなことになります。。

これが、一番独占という言葉に近い内容であるとは思います。
一方、遺言書があるからと言って、独占するのはありえない!という感情になるのも無理はありません。

そこで、以下の2点を確認、検討すると良いでしょう。

遺言書は有効であるか?

まず冷静になって、その遺言書が法的に有効なものであるかを確認しましょう。
その際のポイントを以下に記載します。

  • 遺言者の自筆(手書き)で全文書かれているか?
    (2019年1月13日からは、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合は、目録をパソコンで作成しても良いという決まりに変更されています。それ以前に作製されたものは、財産目録も全て自筆で作成する必要があります。)
  • 作成した日時が自筆で正確に書かれているか?
  • 氏名が自筆で書かれているか?
  • 印鑑を押されているか?
  • 訂正には訂正印があり、欄外にどこを訂正したか書いて署名しているか?

これらを全て満たして初めて遺言書が法的に有効であると認められます。
存在している遺言書が疑わしいと思ったら、遺言書の有効性を巡って、争うこともできます。

遺留分侵害額請求をする

留分制度というものがあります。
それは、一定割合の被相続人の財産を、一定の範囲の相続人に留保させる制度です。
遺留分は1年以内に請求する必要があります。これを遺留分侵害額請求といいます。
法定相続人のうち、兄弟姉妹以外(配偶者・子・親)に認められる制度であるため、
ご自身の遺留分が侵害されている場合は、遺留分侵害額請求を検討してみましょう。

遺留分侵害額請求について詳しく見る

強引に独り占めする場合もある

遺言書があるなしに関係なく、強引に独り占めをされてしまうリスクはあります。
特に、遺産分割協議に参加せずに父の不動産に居座っている、父の現金預貯金などの財産を勝手に処分してしまうケースが考えられます。

そのために、迅速な行動が必要な場合があります。

銀行口座を凍結する

銀行口座はすぐには凍結されません。役所から銀行に死亡が通知されるまでのタイムラグが発生するため、すぐに銀行口座を凍結するようにしましょう。
他の相続人の使い込みを疑った場合は、入出金履歴を取り寄せることも可能です。

強引に独り占めされてしまった場合の対処法

対処法としては以下の5つです。

これらの対処によって、独り占めしてしまっている遺産を取り返すことが可能な場合があります。

税額負担が大きくなる

一次相続で配偶者控除を使用した場合、二次相続での税額は非常に大きくなります。
つまり、母親が遺産の全てを相続することにメリットはありません。これは弁護士の領域の話ではないですが、税理士さんなどに話を聞いてみることをおすすめします。

兄弟姉妹での揉め事に発展しやすい

二次相続では管理をしてくれる母親が亡くなり、激しい争いになることがあります。
一次相続の際に遺産分割協議をしっかりしておくことが重要です。揉め事になる前に、一度弁護士に相談することも良い判断になるでしょう。

一次相続時でもありえますが、二次相続でも母親の財産を独り占めされることを防止するためにも、一次相続時からきちんと話し合いを進めるようにしましょう。

兄弟姉妹の相続トラブルについて詳しく見る

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