Q&A
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相手方の合意がない場合でも離婚を成立させることはできますか?
- こちらがどんなに離婚したいと思っていても、相手の合意がない場合には、残念ながら離婚を成立させることはできません。
夫婦間の協議が成立しない場合には、素早く調停を申し立てることになりますが、調停もあくまで裁判所を利用した当事者間の話し合いによって解決を図る手続きなので、結局は、離婚する際の条件(財産分与や親権など)の調整がつき、離婚の合意がなければ成立できません。ただし、調停の中で相手にも事の重大さを認識してもらうことで、話し合いが進むということもあります。
調停での話し合いでも合意できなければ、訴訟に移行します。訴訟では、裁判所が法律上定められた離婚事由が認められる原因の有無について判断することになります。法律上定められている裁判離婚に必要な事由をまとめると次の5つになります。⑴不貞行為
⑵悪意の遺棄
⑶3年以上の生死不明
⑷回復の見込みがない強度の精神障害
⑸その他の婚姻を継続しがたい重大な事由当事者同士で話し合いをしている段階では、どうしても感情が先走ってしまい、冷静に話し合うことができないことが多いと思いますが、弁護士が介入することで、相手にも弁護士が付き、それぞれが置かれている状況を客観的に把握した上で、冷静な話し合いができるケースがほとんどです。
まずは一度、弁護士にご相談されることをおすすめします。
- こちらがどんなに離婚したいと思っていても、相手の合意がない場合には、残念ながら離婚を成立させることはできません。
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不倫した夫が離婚に応じない場合、どうすれば離婚できるの?
- 法律上の離婚事由には「不貞行為」があり、不貞行為とは肉体関係のことを指します。不倫の内容として肉体関係が含まれているのであれば「不貞行為」に該当し、それだけで離婚の理由になります。
他方、肉体関係が無い交際関係にすぎない場合(証拠によって肉体関係までの立証が困難な場合も含みます)、それだけでは直ちに離婚の理由にはなりません。もっとも、法律上定められている離婚事由の中には「婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」との規定もありますので、こちらの事由に該当する場合があります。
また、離婚をする方法としては、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
夫が頑なに離婚に応じてくれない場合、当事者間の話合いが前提となる協議離婚、調停離婚は難しいと思います。
しかし、ご自身の交渉には応じなくても、弁護士などの第三者が交渉すれば夫が離婚に応じる事例もあります。
どうしても話合いが難しく、協議離婚や調停離婚が成立しないようであれば、裁判離婚ということになりますが、その時には上で述べたように離婚事由が必要となります。
まずは法律上の離婚事由が認められるかどうか、専門家の弁護士に相談してみましょう。⑴不貞行為
⑵悪意の遺棄
⑶3年以上の生死不明
⑷回復の見込みがない強度の精神障害
⑸その他の婚姻を継続しがたい重大な事由当事者同士で話し合いをしている段階では、どうしても感情が先走ってしまい、冷静に話し合うことができないことが多いと思いますが、弁護士が介入することで、相手にも弁護士が付き、それぞれが置かれている状況を客観的に把握した上で、冷静な話し合いができるケースがほとんどです。
まずは一度、弁護士にご相談されることをおすすめします。
- 法律上の離婚事由には「不貞行為」があり、不貞行為とは肉体関係のことを指します。不倫の内容として肉体関係が含まれているのであれば「不貞行為」に該当し、それだけで離婚の理由になります。
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姑と不仲になり、夫はなにもしてくれない。離婚出来る?
- 妻と親族が不仲になったとき、夫が一緒になって妻を攻撃したり、妻が攻撃されているのを知りながら夫が放置した場合に、夫の態度が離婚原因になる場合があります。
裁判例の中にも妻と親族との不和を知りながら夫がなにもしなかった事例において離婚事由に該当すると認めたものがあります。
また、このような事例では離婚原因を作った責任があるとして、夫に対する慰謝料請求も認められています。
姑と不和になった場合、夫の態度によっては離婚が認められる場合がありますし、慰謝料も請求出来る場合があります。
- 妻と親族が不仲になったとき、夫が一緒になって妻を攻撃したり、妻が攻撃されているのを知りながら夫が放置した場合に、夫の態度が離婚原因になる場合があります。
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どのくらい別居すれば離婚出来るのか?
- 離婚に関するご相談の中では、何年ぐらい別居すれば離婚できますか?とのご質問を受けることが多くあります。
別居期間については、法律上何年間という定めはありませので、明確に何年とお答えすることはできません。
婚姻期間との相関で決まるとも言われておりますが、要するに別居を継続すると離婚が認められるのは夫婦関係が破綻しているからですので、別居に至る経緯や別居期間中の夫婦の生活状況等を総合的に判断して決めることになろうかと思われます。一般論ですが、5年間というのが一つも目安となりますが、これよりも短い別居期間、逆に長い別居期間のケースにおいて離婚を認めた例があります。
- 離婚に関するご相談の中では、何年ぐらい別居すれば離婚できますか?とのご質問を受けることが多くあります。
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不貞の慰謝料はどのくらいもらえるのでしょうか?
- 慰謝料額については、個別のケースごとにより大きく異なるため、一概には言うことができません。
慰謝料額を算定するにあたっては、様々な考慮要素があります。夫婦に関する事情としては、婚姻期間の長短、夫婦関係の良し悪し、未成年の子がいるか、夫婦が離婚したかといった考慮要素があります。不貞配偶者と不倫相手に関する事情としては、不貞行為の期間及び頻度、不貞行為の経緯、収入状況、謝罪の有無などの考慮要素があります。
なお、ある裁判官の調査によれば、210万円くらいが慰謝料請求の平均値ではないかとのコメントがあります。
もし、慰謝料請求をお考えなのであれば、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
- 慰謝料額については、個別のケースごとにより大きく異なるため、一概には言うことができません。
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二度目の浮気の場合、慰謝料はどのくらい取れる?
- 慰謝料額は案件ごとの事情によって異なりますので、明確な金額を示すことはできません。一般に不貞慰謝料は100万円から500万円程度の間で認定されることが多く、平均は210万円程度であるといわれています。
2度目の浮気だから必ず増額するという決まりはないですが、2度目の浮気により精神的苦痛が増大したのであれば、慰謝料額にも反映されるべきと考えます。
もっとも、具体的にいくら増えるのか、何割くらい増加するのかということは事案の詳細をお聞きしなければ判断できませんので、弁護士に相談することをお勧めします。
- 慰謝料額は案件ごとの事情によって異なりますので、明確な金額を示すことはできません。一般に不貞慰謝料は100万円から500万円程度の間で認定されることが多く、平均は210万円程度であるといわれています。
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不倫や離婚の慰謝料はいつまで請求できる?
- 慰謝料請求は原則として3年で時効により消滅します。
また、時効の起算点ですが,民法724条には「損害および加害者を知った時」から3年と規定されていることから、例えば不倫相手の身元が全くわからないような場合は、調べて身元が判明したときから時効がスタートします。もっとも、ずっと不倫相手の身元が分からないとしても、不貞行為が行われたときから20年間の経過により時効になります。
離婚事由を作った責任のある有責配偶者に対する離婚慰謝料については、時効の起算点は原則として離婚した時となります。なお、もうすぐ時効が成立してしまう場合でも、裁判を起こしたり調停の申立てをした場合や相手が慰謝料の支払いを認めた場合は時効の完成が中断します。
- 慰謝料請求は原則として3年で時効により消滅します。
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自ら家出をした場合でも、生活費の請求はできますか?
- 生活費を請求することは可能です。
婚姻関係にある夫婦においては、別居中であったとしても、相手の生活を扶養する義務があります。この際の費用を婚姻費用(「婚費(こんぴ)」と略することがあります)といいます。婚姻費用は通常は所得の多い配偶者が、少ない配偶者に渡すことになります。また、婚姻費用の金額については、裁判所が公表している算定表に基づいて計算されます。
いざ婚姻費用を請求する場合には、まずは相手と交渉(話し合い)をすることになると思いますが、もし交渉がうまくいかなければ、早期に婚姻費用の分担請求の調停を起こす必要があります。実務上、調停を起こす前の婚姻費用については遡って請求できないとされていますので、別居状態となった場合や生活費を渡してもらえなくなった場合にはすぐに調停の申立てをするのが良いでしょう。ところで、別居をする際に、子どもを連れて家を出ることを気に病む相談者の方も多くいらっしゃいます。しかし、親権者を決定する際には、子どもの現在の生活状況が大きく考慮されるので、子どもを置いて出て行ってしまうことで、親権を取れないリスクが出てきてしまいます。特に、モラルハラスメントを受けている場合やDV被害を受けている場合など、家庭環境が子どもにとって良好じゃない場合には、子どもを連れて出ることは何ら問題ありません。
- 生活費を請求することは可能です。
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不倫相手から慰謝料をもらうことは出来るのでしょうか?
- 実際に慰謝料を請求する場合には、まず不貞行為(肉体関係)が認定できるほどの証拠があるかどうか見極めなければなりません。もちろん不貞配偶者と不倫相手が不貞行為を認めている場合もありますが、それ以外の証拠も集めておくことが有益です。
最近ではLINEなどのSNS上のやり取りやメールを証拠とすることが多いですが、これらの証拠だけでは不貞行為の立証が弱いと判断される場合があります。他に証拠として考えられるのは、ホテルの領収書や、飲食店の領収書、不貞相手とホテルや相手の自宅を出入りする場面の写真、不貞を認めた夫の発言の録音があります。最近だとスマートフォンのGPS機能を証拠として提出する場合もあります。
また、実際に請求するには不貞相手の住所、氏名も必要です。
不貞相手は、「夫が結婚していることを知らなかった」などと言い訳をしてくることもありますので、可能なら夫と不貞相手の関係についても夫から聞き出すなどして調査すべきでしょう。具体的な証拠の入手方法や、お手持ちの証拠で不貞を立証できるかどうかの判断は、訴訟における立証活動に精通している弁護士に相談すると良いと思います。
- 実際に慰謝料を請求する場合には、まず不貞行為(肉体関係)が認定できるほどの証拠があるかどうか見極めなければなりません。もちろん不貞配偶者と不倫相手が不貞行為を認めている場合もありますが、それ以外の証拠も集めておくことが有益です。
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離婚はせずに慰謝料のみを請求することはできますか?
- 離婚はせずに慰謝料のみを請求することは可能です。
いざ慰謝料請求をする際には、不貞行為(肉体関係)を立証するための証拠の確保が最も重要になります。相手方に証拠を隠されてしまう、消されてしまうというおそれもありますので、感情的になってすぐに問いただすのではなく、証拠を固めたうえで切り出して自白させるのが良いでしょう。
証拠の典型的なものとしては、携帯電話に残されたメールやLINEなどのSNS上のやり取りなどですが、文面の内容によって証拠としての価値が変わります。証拠の価値という点では、夫に自白をさせ、その音声を録音しておけば確実ですが、まずは、携帯の文面を写真に残しておくことが重要です。
ただし、配偶者が浮気をしているケースでも、今後も夫婦生活を継続したいというお気持ちが強い場合には、不貞配偶者に対してすぐに慰謝料請求をするのではなく、慎重にタイミングを見計らうことも重要です。
また、不倫相手に慰謝料請求をすることで夫婦関係が改善するということもあります。相談者の中には、配偶者に言わないまま、不倫相手に慰謝料を請求したいというご要望もありますが、傾向として、証拠が不十分だったり、問題が更に複雑化してしまうことが多く見られます。相手の特性や切り出すタイミング、証拠価値の判断によって、交渉が有利に働いたり、不利に働いたりということがありますので、弁護士に相談をして、戦略を立てるのが良いでしょう。
- 離婚はせずに慰謝料のみを請求することは可能です。
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滞っている婚姻費用を請求できるの?
- 夫婦は法律上、自分と同程度の生活を相手に保障するという互いに扶助する義務がありますから、例えば夫の方が妻より収入が多い場合には、別居中の生活費を婚姻費用として妻に支払わなければなりません。
婚姻費用の請求開始時期については、理論上は別居開始時や生活費を支払わなくなったときと考えられますが、実務上は相手に請求した時、具体的には婚姻費用に関し調停を申立てた時からとされます。他方、すでに夫婦間で夫が婚姻費用を支払うと合意されているのであれば、夫はその合意に基づき妻に対し婚姻費用を支払う義務を負っていますから、合意後に夫が婚姻費用を滞納した場合には、その滞納分の婚姻費用を請求できます。
- 夫婦は法律上、自分と同程度の生活を相手に保障するという互いに扶助する義務がありますから、例えば夫の方が妻より収入が多い場合には、別居中の生活費を婚姻費用として妻に支払わなければなりません。
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離婚後決められた期間内で生活費の支払いが止まった場合、請求できるの?
- 夫婦である間は、法律上互いに扶助する義務を負っていますから、別居中の生活費については婚姻費用として請求できます。
しかし、その後離婚すれば、もはや法律上は他人同士であり、原則として婚姻費用を請求することはできません。
もっとも、日本社会の実情を見ると、妻が専業で家事をしたり、仕事を持っていても家事や育児は妻が中心になって行われており、妻には必要な生活費を賄えるだけの収入がないこともあると思います。
そうすると、妻は十分に仕事をすることができない結果、キャリアアップも不十分になり、将来においても生活費を賄えるか大きな不安が残ります。
このような夫婦の間の役割分担により、結婚期間中、妻は夫に比べ、稼ぐ力を思うように伸ばすことが難しい状況におちいりがちです。
そこで、離婚後しばらくの間、元妻が所得能力を相当程度回復するまで、元夫がお金を払うことも検討されなければなりません。
このように、離婚後の元妻の所得能力回復のために元夫がお金を出すことを扶養的財産分与といいます。
離婚時に当事者間で夫から妻へ一定期間生活費を支払うという合意は、この扶養的財産分与に関する取り決めとして法律上有効です。したがって、元夫が離婚後に自分のお金を何に使おうと自由ですが、扶養的財産分与の支払を止めることはできません。
決められた期間内の生活費を受け取ることは可能であるということになります。
- 夫婦である間は、法律上互いに扶助する義務を負っていますから、別居中の生活費については婚姻費用として請求できます。
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自分で稼いだお金をもとに買った車も財産分与の対象になりますか?
- 自分で稼いだお金であるという点から財産分与の対象にはならないと思われるかもしれません。しかし、残念ながら、このような場合でも財産分与の対象となります。なぜなら夫婦が共同生活をしている間に取得した財産については、お金の出どころに関わらず、夫婦の共有財産として考えられるからです。
夫婦の一方が多額の出資をして購入した資産についての財産分与に関するご相談をお受けすることが多くありますが、財産分与(夫婦の共有財産の清算)については2分の1で分けるというルール(2分の1ルール)の適用が強く、このような資産について財産分与の対象外とすることは難しいです。
ただし、その車が結婚する前に購入していた場合や、夫婦の一方が結婚前から持っていたお金で購入した場合には財産分与の対象とはなりません。また、車両の価値よりローン残高の方が多すぎる場合には財産分与の対象としないという場合もあります。
- 自分で稼いだお金であるという点から財産分与の対象にはならないと思われるかもしれません。しかし、残念ながら、このような場合でも財産分与の対象となります。なぜなら夫婦が共同生活をしている間に取得した財産については、お金の出どころに関わらず、夫婦の共有財産として考えられるからです。
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離婚の時、夫や妻が作った借金を負担しなければならないの?
- 夫婦の一方が結婚前から持っている財産や、婚姻期間中に親から贈与を受けた財産や相続財産についてはその一方の配偶者に属します。このような財産を特有財産といいます。
一方、婚姻期間中に取得した財産については、夫婦の一方の名義であっても、夫婦の共有財産と推定されます。夫婦の一方が作った借金については、夫婦生活にあたり日常生活のために借りた借金(日常家事債務といいます)については夫婦がともに責任を負いますが、例えばギャンブルのために借りた借金など日常生活で必要とはいえない性質の債務については、夫婦の他方に責任はないと考えられています。
- 夫婦の一方が結婚前から持っている財産や、婚姻期間中に親から贈与を受けた財産や相続財産についてはその一方の配偶者に属します。このような財産を特有財産といいます。
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離婚後に財産分与の条件を変更することは可能でしょうか?
- 離婚後であっても、財産分与の条件を変更することは可能です。
法律上、離婚をするときまでに、財産分与の条件まで決めておかなくてはならないというルールはありません。したがって、財産分与で不利な条件で承諾しないよう、じっくりと検討をして条件を決めることが重要となります。ただし、財産分与の請求については、離婚後二年以内に請求をしなければなりませんので、この点はよく注意してください。
- 離婚後であっても、財産分与の条件を変更することは可能です。
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財産分与の割合は一律で決められているのですか?
- 財産分与の割合については、夫婦の共有財産を2分の1の割合で分けるというのが原則で、例外が認められるケースは多くありません(「2分の1ルール」といいます)。財産分与の基本的な考え方として、婚姻期間中に取得した財産は、夫婦の共有財産として、両方が同じ割合で貢献したことにより形成されたものと考えられているからです。2分の1ルール自体は法律で定められているものではないのですが、実務運用上、非常に強い効力を持っています。
ただし、財産形成への貢献度が夫婦間で明らかに異なる場合には、2分の1ルールが適用されないこともあります。例えば、会社の経営者の方や芸能人、プロスポーツ選手の場合には、特別な能力で財産形成に貢献したとして、財産形成に対する寄与の割合の違いを認められる場合もあります。個別事情により異なりますので、是非一度、専門家である弁護士にご相談されることをおすすめします。
- 財産分与の割合については、夫婦の共有財産を2分の1の割合で分けるというのが原則で、例外が認められるケースは多くありません(「2分の1ルール」といいます)。財産分与の基本的な考え方として、婚姻期間中に取得した財産は、夫婦の共有財産として、両方が同じ割合で貢献したことにより形成されたものと考えられているからです。2分の1ルール自体は法律で定められているものではないのですが、実務運用上、非常に強い効力を持っています。
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マイナスの財産も財産分与の対象となりますか?
- マイナスの財産でも、財産分与の対象となる場合があります。ただし、マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合は、分与の対象にはなりません。
財産分与をする際には、まず初めに夫と妻それぞれが婚姻期間中に取得した財産の総額を出し合います。ただし、親からの相続財産や贈与を受けた財産、結婚前から保有していた財産などは除きます。そこで出てくるプラスの財産とマイナスの財産とを足し引きして、残った分を財産分与の対象とします。
当然、残った財産がプラスであれば、それを分け合うことになります。その割合については、2分の1ずつ分け合うのが原則です(2分の1ルール)。
一方で、それぞれの財産を足し引きして、マイナスの財産しか残らない場合には、残った分について財産分与の対象とはなりません。よくあるケースとして、所有している不動産がオーバーローンの場合などは、分与の対象とはならず、夫婦のいずれかがローンを引き継ぐことになります。
不動産のオーバーローンについては、保証人や連帯債務者がいる場合に、財産分与の仕方が変わります。 これらについては事案により運用が異なるので、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
- マイナスの財産でも、財産分与の対象となる場合があります。ただし、マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合は、分与の対象にはなりません。
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夫の定年を機に離婚する場合、退職金は分与してもらえるの?
- 定年退職を機に離婚ということですので、退職金は、すでに、預貯金や不動産等さまざまな形の資産に変化していると考えられます。したがって、その預貯金や不動産の分与を請求することになる場合が多いです。
ただし、財産分与の対象となるのはあくまで妻が退職金という財産形成に貢献したといえる結婚期間中のみの部分ですので、財産分与の対象となるのは結婚期間中の部分に対応する退職金になります。
- 定年退職を機に離婚ということですので、退職金は、すでに、預貯金や不動産等さまざまな形の資産に変化していると考えられます。したがって、その預貯金や不動産の分与を請求することになる場合が多いです。
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財産分与の対象となる財産に退職金は含まれるのでしょうか?
- 退職をする前であっても、実務上は退職時期が近い場合や、退職金の支給額が明確であり支給される見込み(蓋然性)が高いといえる場合には、分与対象として扱います。なお、対象となる時期については個別事情により異なるので、注意が必要です。
退職金については、対象が公務員の方であったり、大企業に勤めていたりする方の場合に、特に認められやすい傾向にあります。これも、財産分与取得の蓋然性が高いという判断からでしょう。
- 退職をする前であっても、実務上は退職時期が近い場合や、退職金の支給額が明確であり支給される見込み(蓋然性)が高いといえる場合には、分与対象として扱います。なお、対象となる時期については個別事情により異なるので、注意が必要です。
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養育費はいくらくらい払ってもらえるのでしょうか?
- 養育費の額については裁判所から公表されている算定表を基準に考えることになります。というのも、実務上、毎月の養育費の額については、基本的にはこの算定表に基づいて判断されることが通常だからです。
もっとも、子どもが私立学校に通っている場合、習い事やお稽古をしている場合は、そのことについて相手が同意しているという事情や、両親の学歴や居住地域の進学状況などが考慮され、算定表の基準よりも高い額の養育費が認められることがあります。なお、算定表の基準通りに決定することは多いですが、あくまで基準であり、法的な強制力を持つものではありません。したがって、算定表よりも高い額または低い額にて当事者が合意することは可能です。
- 養育費の額については裁判所から公表されている算定表を基準に考えることになります。というのも、実務上、毎月の養育費の額については、基本的にはこの算定表に基づいて判断されることが通常だからです。
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嫁が再婚しても養育費を払うの?
- 親は子供を養う義務(扶養義務)があります。この扶養義務はあくまで親の子に対する義務です。
元妻が再婚したからといって、実の親と子の親子関係がなくなるわけではありませんし、養子縁組をしなければ再婚相手と子どもが親子関係になるわけではありません。したがって、元妻が再婚したことを理由として子どもへの養育費の支払いを打ち切ることはできません。
もっとも、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合には、再婚相手と子どもは親子関係になり、再婚相手も子どもに対して扶養義務を負うことになります。
この場合、養親が第1順位、実親は第2順位の扶養義務を負うことになり、先順位の扶養義務者に十分な扶養能力があれば、後順位者に扶養能力があっても具体的な扶養義務は発生しません。ですから、元妻の再婚相手が子どもと養子縁組をすれば、養育費の支払いを打ち切ることは可能になります。
- 親は子供を養う義務(扶養義務)があります。この扶養義務はあくまで親の子に対する義務です。
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子供が私立中学に通うことになったが、その分養育費は増額できる?
- 養育費は子どもが独立して生計を立てられるようになるまでの期間支払われなければならず、長期間の支払いとなることが多いです。
離婚時に養育費を決めたとしても、未来のことをすべて見通して決めることは出来ませんから、予想困難な事情の変更があれば増額、減額を認める必要があります。
例えば、失業・病気・事故などによって父母の経済状態が変わったり、教育費用が増加したなどの事情の変更があれば、家庭裁判所に調停や審判を申し立てて、養育費の増額を請求することが認められています。ですから、子どもが私立中学に通うことになることが養育費の増額理由になることは十分に考えられます。
- 養育費は子どもが独立して生計を立てられるようになるまでの期間支払われなければならず、長期間の支払いとなることが多いです。
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親権と監護権とはどう違うのでしょうか?
- 監護権とは、親権の中に含まれる身上監護権のことを指し、子どもの世話をする権利のことです。また、親権の中には未成年の子どもに代わって財産を管理し、財産関係の契約を代理する権利(財産管理権)というのも含まれています。
離婚をする際に未成年の子がいるときは、父母のいずれが親権者となるのかを必ず決めなければなりません。離婚届には親権者について記入する欄がありますが、無記入での提出は認められません。なお、親権者と監護者とを分けることは理論上可能ですが、実務上は好まれません。
- 監護権とは、親権の中に含まれる身上監護権のことを指し、子どもの世話をする権利のことです。また、親権の中には未成年の子どもに代わって財産を管理し、財産関係の契約を代理する権利(財産管理権)というのも含まれています。
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子どもの親権と監護権をわけるにはどのような手続きが必要でしょうか?
- まず、親権には、未成年の子どもに代わって財産を管理し、財産関係の契約を代理でする権利(財産管理権)と子どもを養育したり、叱ったりする権利(懲戒権)など、要するに子の世話をする権利(身上監護権)が含まれます。
監護権のみを取るということは、親権のうち身上監護権のみを取得するということを意味します。法律上、15歳未満の子どもがいる場合、子どもの養子縁組の承諾をできるのは親権者ですが、監護権者の同意も必要であるとされています。一方の親が知らぬ間に養子縁組をする可能性を排除するために、離婚届で親権者と監護者と分けることもあります。
実際には親権と監護権を分けることは好ましくないという考えが強いですから、裁判所で親権と監護権とを分けるという判断をすることは原則ありません。ですので、もし親権と監護権とを分けたいのであれば、当事者間の話し合いで協議書を作るのが良いと思われます。
- まず、親権には、未成年の子どもに代わって財産を管理し、財産関係の契約を代理でする権利(財産管理権)と子どもを養育したり、叱ったりする権利(懲戒権)など、要するに子の世話をする権利(身上監護権)が含まれます。
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子どもが親権者の妻ではなく夫側の親権を望んでいる場合どうなるの?
子どもの意見は影響するの?- 一旦、妻が未成年の子の親権者となったけれども、未成年の子は夫が親権者となることを望んでいる場合、一旦母親が親権者になっていますので、親権を変更するには親権変更の手続が必要となります。
親権者の変更は当事者同士の合意によってはできませんので、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる必要があります。
調停や審判では、親権者の変更が子の利益のため必要があるといえるかが検討されます。その際、従来の親権者の監護状況に問題があるか、子どもが分別能力を備えていれば子どもの意思はどうか、という観点が基準になります。
ですから、その範囲で子どもの意思は親権に影響すると言えます。
- 一旦、妻が未成年の子の親権者となったけれども、未成年の子は夫が親権者となることを望んでいる場合、一旦母親が親権者になっていますので、親権を変更するには親権変更の手続が必要となります。
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不貞した側でも親権は獲得できるの?
- 親権を決める基準には、母性優先の基準、継続性の基準、子の意思尊重の基準、兄弟不分離の基準、面会交流の許容、奪取の違法性、など様々な基準があります。
家庭裁判所は、夫と妻のいずれが今まで子どもを中心的に養育してきたか否か、子どもの意思はどうかという観点から、親権者を決定するので不貞行為をした配偶者は親権を絶対に得られないということはありません。
- 親権を決める基準には、母性優先の基準、継続性の基準、子の意思尊重の基準、兄弟不分離の基準、面会交流の許容、奪取の違法性、など様々な基準があります。
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面会交流を確実に行う方法はありますか?
- 監護親が子に会わせてくれないという場合に弁護士が交渉に入ることで解決するということもあります。但し、弁護士が交渉をしても、それ自体に強制力・確実性はないので、確実性を求めるのであれば、面会交流調停を起こすしかありません。
もっとも、むやみに調停を起こしてしまうと、相手方(監護親)を必要以上に刺激し、子を会わせたくないという感情が非常に強くなってしまい、交渉や調停における話し合いがかえって進まないということがあります。面会交流案件については、柔軟性と確実性とのバランスを意識することが肝要です。
調停においては緩やかな条項を作ることが多く、細かい条件までは定めないのが一般的です。一方で、条件を定めなければ、強制執行をすることができないので、確実性を重視するのであれば、細かい条件まで取り決めなければなりません。
他方、面会交流の回数については、運用上は月1回程度というのが基本になりますが、当事者間で定められた面会交流の条件がまったく履行されない場合には、裁判所が細かく条件まで定めるケースもあります。「毎月第○週目の×曜日、何時~何時まで、場所は△△」といった日にちまで決めることもあります。 面会交流は子を中心として考えられますので、監護親と子とのコミュニケーションの取り方も重要となってきます。
- 監護親が子に会わせてくれないという場合に弁護士が交渉に入ることで解決するということもあります。但し、弁護士が交渉をしても、それ自体に強制力・確実性はないので、確実性を求めるのであれば、面会交流調停を起こすしかありません。
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夫に子供を会わせたくない場合はどうすればいい?
- 監護をしていない親(非監護親)が子どもと会うことを面会交流と言います。
面会交流権は親が子どもに会える権利というだけでなく、子どもが親に会える権利でもあります。元妻が元夫のことが嫌いだからといって、子どもが父親を嫌いであるとは限りませんし、心理学的にも、親に会えることで子どもが健全に発達すると考えられています。また、子どもがお母さんに気遣い、本当はお父さんと会いたかったというケースもあります。したがって、子どもにとっての最善を考える面会交流については、子を監護する親(監護親)が非監護親に会わせたくない、会わせるべきでないと考えていても、それだけで面会交流を拒絶することはできません。
もっとも、元夫が子どもに対して虐待を行っていたなど、面会によって子どもの利益が害されるような場合には面会交流を禁止又は制限すべきです。
どうしても元夫と会いたくないということであれば、元妻の両親等の親族に面会交流における子の引渡しをお願いしたり、FPICなどの第三者機関を利用して面会交流を実現させることを考えるべき場合もあります。
- 監護をしていない親(非監護親)が子どもと会うことを面会交流と言います。
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住宅ローンが残っている場合、住み続ける側が払うの?
- 例えば、結婚10年目で離婚することになり、住宅ローンがまだ残ったままの場合、引き続き居住し続ける配偶者がローンを負担しなければならないかというと、必ずしもそうとは言えません。
離婚時に夫がローンを支払い、妻と子どもが住むという取り決めをすることもよく行われています。
- 例えば、結婚10年目で離婚することになり、住宅ローンがまだ残ったままの場合、引き続き居住し続ける配偶者がローンを負担しなければならないかというと、必ずしもそうとは言えません。